「座敷箒職人」絶滅の危機をどう救う?埼玉でたったひとりの箒職人、永倉一男さんに会いに行って来ました!

埼玉でたったひとりの箒職人

日本の伝統文化を守りたい、ののの農園( @nononofarm) のかとうまさやです。

2016年10月ごろ。

どういうきっかけだったのか忘れてしまいましたが、日本の座敷箒職人がいなくなってしまうというのを知りました。

その時ぼくが思ったのは、『日本の伝統的な文化をここで失いたくない!』っていうこと。

さらにネットで調べると、なんと埼玉県にひとりだけ箒職人が残っているということを知りました。
その埼玉で唯一存在する座敷箒職人は、「永倉一男」さんというお方。
80歳を超えても現役で箒を作られているとの情報を得ました。(2016年当時)

その永倉さんに直接お会いしてお話を聞いてきたので、紹介します。

 

 

埼玉県にひとりの箒職人「永倉一男」さんに会う

埼玉県でひとりだけ箒作りを続けている永倉一男さんのことを知り、ぜひお会いしたいと思いました。

ご自宅の電話番号を見つけたので、電話してお会いしたい旨を伝えたところ、以下のような回答をいただきました。

『今は催事などで外に出払っていることが多く家にいることが少ないから、日高市に住んでいるなら12月に新宿の京王百貨店で行われる催事にいるから、そこに来てくれれば作っているところを見せられる』
とのことでした。

すぐにでもお会いしたかったのですが、12月まで待ち催事に伺うことにしました。

催事で永倉一男さんに会って話を聞いてきた

電話してから2ヶ月ほど経ち、新宿の京王百貨店で開催されていた「NIPPONの技 工芸職人展」に行ってきました。

催事場を見渡したら、埼玉県で唯一存在する箒職人、永倉一男さんを発見しました。

永倉一男さん

永倉さんは催事の会場で、実際に箒づくりをしながら接客販売をされていました。

ぼくは人見知りなのでドキドキしながら勇気を持って話しかけたら、気さくに色々と教えてくださいましたので、緊張せずにお話しできました。

短い時間でしたがお話しさせていただいた内容をまとめると以下の通り。

MEMO
・箒の原料である「ホウキモロコシ」を栽培している日本の農家がいなく、箒の原料が手に入らない
・永倉さんが使っているホウキモロコシはタイかインドネシア産
・外国のは硬く、日本の方が柔らかくていい
・日本の種をタイやインドネシアに持って行って栽培指導した
・色味が青い箒は脱色してからその後着色したもので自然ではない
・箒の技術が受け継がれることはない、何故ならば原材料が手に入らないから(ホウキモロコシだけでなく麻の糸なども)
・「ホウキモロコシ」にもいくつか品種がありそれぞれ特徴が違う
・長野の品種は穂先が長くなるので使いづらい
・千葉の成田空港ができたあたりで作られていた「ホウキモロコシ」が良かった
・昔はあの辺り(成田空港)は開拓地で苦労して開拓した農民がいた
・みずほ台駅周辺の「ホウキモロコシ」も良質だった
・穂先が枝毛みたいにたくさんついている方が軽くてボリュウムが出ていい箒ができる
・皇室にも献上している(新嘗祭で使っているとか)
・その皇室に献上する座敷箒の「ホウキモロコシ」を自分で栽培している
・箒を作るときは穂先を合わせる(穂先は柔らかくて大事なので切らない)
・「ホウキモロコシ」の種は5月に蒔く
・岩手の座敷箒は加熱して縮れてしまってゴミがそこに絡まって取れない
・座敷箒づくりは百姓の農閑期の仕事だった
・箒の柄も昔は国産の竹を使って装飾などされていた(今では外国産)
・竹の柄が折れにくくてよい
・掃除機は畳を痛める→箒がよい
座敷箒
永倉一男さんの作り販売していた座敷箒

箒の歴史や、昔の農家の冬仕事だったこと、国産と外国産ではやわらかさが違うこと、職人もいなくなっていること、良質な原料が手に入らないことなど、初めて知ることばかりでとても興味深く勉強になりました。

そもそも座敷箒が農家の農閑期の仕事として行われていたこと自体知らなかったので、そのことが一番衝撃でした。

ホウキモロコシの栽培方法

永倉さんにお話を聞く中で「ホウキモロコシ」を栽培したいと伝えたら、栽培方法についても教えてくれました。

種まきは5月ごろに行い、8月くらいに収穫。
種まきは30cm間隔に5粒づつ種をまき、間引きをして最終的には3本くらいにするといいそうです。

収穫は種をつける前で、茎が折れる時期(?)がいいとか。
収穫後は穂先の種を取り、穂先を隠して茎の方を3日ほど天日干しします。

これで箒の原料としてのホウキモロコシの栽培が完了し、あとは職人さんの手によって選別され編み込みされます。

永倉さんにはもう国産の「ホウキモロコシ」の種が手に入らないのではないかと、言われましたがネットで調べて手に入れることができました。

ホウキモロコシ栽培【箒の原料】ホウキモロコシの栽培方法を解説。【種の配布は終了しました】

良い箒を作るには良いホウキモロコシが必要

いい箒を作るには、茎と穂先との長さを揃える必要があります。
しかしそれぞれ個体差があって違うので、ちょうど同じくらいの長さのものを選び出して箒にするそうです。

また、長さを合わせるために穂先を切ったりは絶対しないとか。
穂先の柔らかい場所が、箒としてとても大事な部分だそうです!

箒作りに関してお聞きしているとすごく手間暇かかる仕事だな〜っと思いました。

手間のかかる仕事で、原材料を手に入れるのも容易ではありませんが、この日本の伝統文化を守るためにも箒作りに興味を持つ方が増えるといいなと思いました。

永倉さんにミニ箒をいただく

永倉一男 箒
いただいたミニ箒

お話している時にヒョイっと出されたのがこの箒。
永倉さんが自ら育てて皇室献上のために作った箒と同じ素材で作ったミニ箒です。

香りを嗅ぐととってもいい香りがするし、穂先も柔らかいです。
そしてこの箒、『持って帰っていいよ』とぼくにくれました!!!!

貴重な貴重な箒をいただきました。
今でも家にあり、大事に使っています。

箒 座敷箒
座敷箒

  

  

日本の伝統文化の危機を食い止めたい

日本の箒職人は絶滅の危機です。(いや箒以外にも様々な日本文化がなくなってしまいそうです。)

もっと国の広報が情報発信して危機的状況だということを国民に知らせ、若者があとを継ぐような政策をうってほしいものです。

無農薬で農業を始める農家は増えてきていますが、箒職人は本当に絶滅の危機だと思います。

ぼくが箒職人になることはできませんが、国産の「ホウキモロコシ」を栽培し種採りを続けることはできますので、続けていきたいと思います。

 

参考:東上線物語 「大井、上福岡伝統のほうき作りを守る」

   ショッパー 「職人の巧みな技で作る手編みほうき」

   ふじみ野市HP 「座敷箒(ざしきぼうき)づくり -明治から昭和へ(5)-」

   日本一ネット 「日本最大の座敷箒」

   京王百貨店新宿店 「イベントカレンダー」

   富士見市HP 「難波田城資料館イベント」

 

 

まとめ

日本の伝統文化である座敷箒。
今では箒職人がどんどんと減っている中、埼玉には唯一箒作りを続けている永倉一男さんがいらっしゃることを知りました。

すぐにでもお会いしたいと思い、電話連絡したら催事に出店されることを聞き、その催事でお会いし話を聞いてきました。

座敷箒について理解が深まり、なんとかこの伝統文化を残したいと思いました。
ぼくにできることは箒の原料である「ホウキモロコシ」を栽培し種採りを続けることだと思い、実際に栽培を続けています。

 

追伸1

のらのら

知り合いご家族が「のらのら」という雑誌の表紙の写真に載っているのですが、その紙面にホウキモロコシの栽培や箒作りの記事がありました。

のらのら ホウキモロコシ

追伸2

永倉一男さんから旧上福岡市のパンフレットをいただきました。
右下に永倉さんが載っていました。
上福岡市は合併してなくなっているので、このパンフレットは貴重なものです。

 

ホウキモロコシ栽培【箒の原料】ホウキモロコシの栽培方法を解説。【種の配布は終了しました】

 

2 COMMENTS

nononofarm

とてもいい情報ありがとうございます^^

早速「いいね」しました!!!

イベントなどされているようなので、
行ってみて色々と聞いてこようかと思っています♪

本当にありがとうございます^^

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